『列車に乗った男』
列車に乗った男
監督:パトリス・ルコント
出演:ジャン・ロシュフォール、ジョニー・アリディ、ジャン=フランソワ・ステヴナン

<あらすじ(映画生活 より)>
当て所もない旅を続ける訳あり中年男ミランは、フランスの小さな田舎町に降り立つ。ところがシーズンオフでホテルが開いていなかったため、偶然立ち寄った薬屋で出会った老人マネスキエの家に泊めてもらうことにする。自由奔放に好き勝手な人生を歩んできたミランと一度も街から出たことのない孤独な大学教授マネスキエ。何の接点もない2人の男が偶然に出会い、語り合ううちに、奇妙な友情が芽生えていく。やがて2人はそれぞれの人生を入れ替えられたらと思うようになる。そんな2人に運命の日が訪れるのだった…。

☆ ☆ ☆★ (5点満点 ☆=1,★=0.5)

<感想(ネタばれ 有り)>
「男気」、「ハードボイルド」、「ダンディズム」…、
何とも男臭い言葉ばかりが思い浮かぶこの映画。

これが、パトリス・ルコント…?

そう、紛れもなく『髪結いの亭主』、『仕立屋の恋』のパトリス・ルコント監督です。

『イヴォンヌの香り』以降はほとんど観てないのですが、
パトリス・ルコントと言えば自分にとっては「女性的」な印象を持っています。
(ちょっと分かりにくい?、雰囲気ということで…)

ところが、この映画はどうでしょう?
パトリス・ルコントの代名詞とも言える「官能的」なシーンも一切なく、
女性の主なキャラクターは1人ぐらいしか出演しません。
(しかし、さすがというか、この女性がとても存在感があるんです)

この映画の見所は何と言っても主人公の2人に尽きると思います。
ほどんど、2人の映画みたいなものですから。
正反対の2人のやり取りが奇妙で面白く、不思議と惹かれ合っていく様は
友情とも言い難い不思議な関係。
それは大袈裟かもしれませんが、「尊敬」ような感じです。
お互いが送ってきた人生への尊敬の念が2人を強く結びつけたように思いました。

この2人の存在感は素晴らしく、
ミランを演じたジョニー・アリディは今なお活躍するミュージシャンだそうです。
60年代には、フランスのエルヴィス・プレスリーとして一世風靡したらしいですが、
果たしてどんな歌手なんでしょう。
しかし、この無口なアウトロー役はハマってますね。
それだけにミランが留守の時に訪ねてきた生徒に勝手に家庭教師をしてしまうシーンは
意外で面白かったですね。

そして、マネスキエ演ずるはお馴染みの名優ジャン・ロシュホール。
『髪結いの亭主』の彼はとても印象に残っています。
歳を取りましたが、いい味をだしてますね。
良い俳優は、なぜ人生をユーモアで包むことが出来るのでしょうか?

相反する男同士の出会い。
2人は互いに自分にないものを持つ相手に憧れを抱いていきます。
詩を読み、ピアノを弾く、知的でゆったりとした生活。
拳銃を持ち、列車に乗って渡り歩く流れ者のような生活。
自分の諦めた夢、努力しなかったことへの後悔もあるでしょう。

ラストシーン、
お互いのシンクロする人生の最期にだけ、許された夢を見ます。

久々の「渋い」男の映画でした。
2006/10/15(Sun) | 映画の感想(DVD) | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
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