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『人生は、時々晴れ』
人生は、時々晴れ
監督:マイク・リー
出演:ティモシー・スポール、レスリー・マンヴィル、アリソン・ガーランド

<あらすじ(映画生活 より)>
タクシー運転手として日々坦々とやり過ごすフィル。妻ペニーはスーパーで働き苦しい家計を支えている。無職の息子ローリーは反抗的な態度で怠惰な毎日を送り、老人ホームで清掃係をする娘レイチェルは、無口で感情を表に出すことはない。ロンドンの集合住宅に4人揃って住みながら、もはや家族として心を通いあわせることはなかった。ある日、ローリーが胸の痛みを訴えて突然倒れるまでは…。

☆ ☆ ☆★ (5点満点 ☆=1,★=0.5)

<感想(ネタばれ 有り)>
人生のリアリティを追求したような重厚な人間ドラマです。
でも衝撃的だった『ヴェラ・ドレイク』には及ばないかもしれませんが、
いい映画だとは思います。

でもね、リアリティ出し過ぎですから!

『秘密と嘘』、『ヴェラ・ドレイク』のイギリスの巨匠マイク・リー監督。

サウスロンドンの労働者階級(低所得者)の物語。
序盤、集合住宅で暮らす3つの家族を中心に物語は展開するのですが、
これがもう救いようがないのです。
出てくる登場人物は変な人ばかり。
もう誰一人として感情移入は出来ないどころか、不快な気持ちにまでなってきます。

スターというか、有名な俳優をあまり起用しないマイク・リーの思惑は
ズバリ当たりというか、自分には効果があり過ぎたようです。
美男美女は誰1人いない。
おデブさんばかり。
でも実際の生活の中ってそんなものだと思うんです。
これがまたリアリティがあり過ぎて観るのが辛い…というか、痛くなってきます。

「もう分かったよ…。みんな孤独で心も渇いてて、でも生活するのが精一杯だから、
何も解決しようなんて思わずに惰性のように生きてるんだよ。」って感じに…。

フランスから来たセレブな客を乗せた後、
タクシーの無線も切り、携帯も切り、海を眺めに行くシーンがあるんですが、
これがまた痛いほど分かる。
自分でも絶対そうすると思いました。
そしてこんな時に限って息子が心臓発作で倒れて、そして全然連絡が取れないって…。
これがまたホント救いようがないんです。

それをマイク・リー監督独特の演出ですから、相乗効果でもう手が付けられません。

今回も例外ではなく、脚本なしの独自の製作スタイルです。
俳優には役の背景だけを事前に渡し、
半年間にも及ぶリハーサルとディスカッションを通して、
その人物像を創り上げていくというスタイル。

これ毎回思うけど凄いです。
映画が真実を越えている瞬間があるような気さえする程です。
そして、セリフは即興。
だから会話がまたリアリティあり過ぎなんです。
夫が妻に対して、「自分をゴミ扱いしている」と激白するシーンは
息が止まりそうな程の緊迫感があり、マイク・リー演出の醍醐味を見せて貰いました。

でもね、誰でもいいからホッと一息つけるようなキャラクターが1人欲しかった…。
そしたら、もっとこの映画に入っていけたような気がします。

ラストシーン、
息子の入院がキッカケとなって、
家族の固く閉ざしていたそれぞれの気持ちが雪解けのように流れていく様子は、
やはり感動的でした。
光の射し込んだ病室でのラストショットに少し救われたのです。

しかし、この映画の邦題「時々晴れ」じゃなくて、「のち晴れ」だと思うよ。
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2006/12/04(Mon) | 映画の感想(DVD) | トラックバック(0) | コメント(2) | page top↑
コメント
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こんばんは
マイク・リー監督作品とは、興味をそそられます。
『秘密と嘘』、『ヴェラ・ドレイク』は、私も観ましたが、この二つの映画を観て、この監督は只者ではないなと思いました。そうそう、脚本なしのスタイルも、凄いですよね。だから、俳優さんたちの演技も、真実味があるというか、演技をしているという感じがしません。
この映画は、最近の映画ですか??
観なくては!!
by: waka * 2006/12/05 22:34 * URL [ 編集] | page top↑
--wakaさんへ--

wakaさん、こんばんは。
この映画は『ヴェラ・ドレイク』ほどの衝撃はありませんでした
出てくるキャラクターに魅力を感じれず、ちょっと乗り切れず、残念賞です。
実は『秘密と嘘』を観てないんです。
TSUTAYAにDVDを置いてなくて、店員にお願いしたいぐらい。
観たいです。
by: kowa.shu * 2006/12/06 23:17 * URL [ 編集] | page top↑
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